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Lam Researchを、一般的な意味でのAI企業と呼ぶのは少し違います。モデルを学習するわけでも、GPUを設計するわけでもありません。ただし、AIメモリを作る工場の内側に入ると、Lamの存在感は急に大きくなります。AIサーバーが増えれば、より速いHBM、より大きなDRAM、より高性能なNANDが必要になります。それを量産するには、膜を均一に成膜し、必要な部分だけを正確に削り、微細な残渣を取り除く必要があります。
Lamが強いのは、まさにこの領域です。中心はエッチング、成膜、洗浄です。言葉は地味ですが、半導体工場では歩留まりとコストを左右する工程です。設計がいくら優れていても、同じ品質で繰り返し作れなければ利益にはなりません。
直近の数字も強いです。2026年3月期四半期の売上高は58.4億ドル、GAAP粗利益率は49.8%、GAAP営業利益率は**35.0%**でした。半導体製造装置会社としてこの水準の利益率を出せるのは、顧客が単なる機械ではなく、歩留まり、安定性、量産で検証済みの工程経験に対価を払っているからです。
ただし、市場もその物語をすでに知っています。2026年5月5日14:24:39 UTC時点の市場スナップショットでは、LRCXの株価は269.54ドル、時価総額は約3,381億ドルでした。Lamが良い会社であることだけでは足りません。AIメモリの投資サイクルが落ち着いた後も、装置とサービスで高い収益性を維持できるかが重要になります。
要点はこうです。Lamの競争力は本物ですが、ASML型の独占ではありません。 1台の不可欠な装置で市場を支配している会社ではなく、顧客ファブの中で長く使われ、工程経験とスイッチングコストを積み上げてきた会社です。その堀がどれだけ長く残るかが、この分析の中心です。
Lamは何で稼いでいるのか
半導体製造をかなり単純化すると、ウェハーに薄い膜を作り、必要な形だけを残して削り、汚れや残渣を取り除く工程を何度も繰り返す作業です。この繰り返しが積み重なって、チップになります。
成膜はウェハーに薄膜を形成する工程です。膜が均一でなければ、後の工程で問題が出ます。エッチングは不要な部分を取り除く工程です。表面を削るだけの作業ではなく、プラズマと化学反応を使って、狙った材料だけを狙った場所から取り除きます。洗浄は粒子や残渣を落とす工程です。半導体では小さな粒子ひとつが高価なウェハー全体の価値を損なうことがあります。
だからLamは、単なる装置メーカーではありません。装置を売っていますが、より深いところでは量産の安定性を売っています。顧客がLamを選ぶのは、製品写真が立派だからではありません。特定の工程を許容できる歩留まり、稼働率、欠陥管理、コストで回せるからです。
売上構成にもそれが出ています。新規装置を売るのがsystems revenueです。一方、すでに顧客工場に入っている装置から出るサービス、部品、アップグレード、成熟ノード向け装置などがcustomer support-related revenue and otherです。2025年度のsystems revenueは114.9億ドル、customer support-related revenue and otherは69.4億ドルで、全体の約**38%**でした。
この設置済み装置向け売上は重要です。Lamは装置を売って終わる会社ではありません。装置がファブ内に入ると、サービス、部品、アップグレード、レシピ調整を通じて生産現場との接点が続きます。この関係が、次の工程投資の判断にも効いてきます。
AIメモリが広がるほど、工程は難しくなる
Lamを理解するには、AIという言葉より先に3D構造を見るほうが近道です。従来の半導体進化は、平面上により細かい回路を描くことが中心でした。いまは上方向に積む構造も重要になっています。3D NANDは層を高く積み、HBMは複数のDRAMチップを積み重ね、GPUの近くで高速にデータを動かします。
構造が縦方向に伸びるほど、製造は難しくなります。3D NANDでは、多くの層を貫く深く細い穴を作らなければなりません。穴が少し曲がったり、側壁が荒れたり、ウェハー上でばらついたりすると、歩留まりに響きます。HBMでも、パッケージング、熱、接続、顧客認証が同時に問われます。
ここでLamの高アスペクト比エッチングが重要になります。深く細い構造を繰り返し安定して作るのは簡単ではありません。さらに、エッチングは成膜や洗浄ともつながっています。どのように膜を作ったかが次のエッチング難度を決め、エッチング後の残渣処理が歩留まりを左右します。
つまりLamとAIの関係は、飾りのようなテーマではありません。LamはAIモデルを作りません。Lamは、AI経済が必要とするメモリとチップを作る工程を支えています。チップが複雑になるほど、製造工程の価値も高まります。
堀は独占ではなく、ファブ内の慣れから生まれる
Lamの競争力を「技術が良い」とだけ言うと、少し粗すぎます。半導体装置で重要なのは、その装置が顧客の具体的な工程で既に認証され、安定して使われているかです。
顧客にとって装置変更は軽い判断ではありません。装置を変えれば、工程レシピの調整、歩留まりの安定化、エンジニア教育、部品体制の作り直しが必要になります。装置価格が少し安くても、歩留まりが崩れれば節約分はすぐに消えます。
Lamの第一の強みは高アスペクト比エッチングです。深く細い構造を繰り返し作るには、プラズマ制御、化学反応、温度安定性、チャンバー設計、顧客別レシピがかみ合う必要があります。資本だけで短期間に追いつける領域ではありません。
第二の強みは設置済み装置です。Lamの装置が顧客ファブに多く入るほど、サービス、部品、アップグレード、工程調整がLam中心で回りやすくなります。とくに先端工程では、慣れていて検証済みの装置そのものに大きな価値があります。
第三の強みはスイッチングコストです。Lamの2025年Form 10-Kは、顧客が装置サプライヤーを評価する際、工程性能、生産性、欠陥制御、サポート力、総所有コストを見ると説明しています。価格は重要ですが、生産安定性を揺らしてまで安さを選ぶのは危険です。
とはいえ、この堀を大きく見すぎてもいけません。LamはASMLのEUVのような独占事業ではありません。Applied Materials、Tokyo Electron、ASM、SCREEN、SEMES、中国の地場装置メーカーまで、競争相手は多くいます。顧客も工程ごとに複数の装置メーカーを組み合わせます。
Lamの堀は、巨大な城壁というより、顧客ファブの内側に深く打ち込まれた杭に近いものです。外からは見えにくいですが、簡単には抜けません。Lamが強い理由は「Lamだけができる」ではなく、すでに顧客がLamの装置で歩留まりを合わせ、工程を回してきたことにあります。
- LibertyCorpora解釈Lamの強みはAIというラベルではなく、顧客ファブ内に積み上がった工程経験と、実績ある装置を変えにくい構造にあります。
数字は強い。ただし期待も安くない
2026年3月期四半期の売上高は58.4億ドルでした。前年同期の47.2億ドルから大きく増えています。内訳も悪くありません。systems revenueは37.3億ドル、customer support-related revenue and otherは21.1億ドルでした。新規装置需要と設置済み装置向け活動が同時に伸びています。
GAAP粗利益率は**49.8%**でした。半導体製造装置会社が50%近い粗利益率を維持していることは、Lamの装置とサービスが単なる汎用品として扱われていないことを示します。
GAAP営業利益率は35.0%でした。しかも研究開発を削って出した数字ではありません。Lamは2026年度最初の9か月でR&Dに17.3億ドルを使っています。この業界では、R&Dは費用であると同時に次の工程ポジションを取るための参加費でもあります。
キャッシュ創出力も健全です。2026年度最初の9か月の営業キャッシュフローは44.0億ドルでした。設備投資と無形資産取得を単純に差し引いた9か月のフリーキャッシュフローは約36.2億ドルで、年率換算では約48.3億ドルです。
ただし、価格も一緒に見る必要があります。時価総額約3,381億ドルに対して、この年率換算の単純FCF利回りは約**1.4%**です。Lamが現金を稼げない会社という意味ではありません。むしろよく稼いでいます。ただ、市場はすでに将来の持続力をかなり高く評価しています。
在庫は詰まりよりも動きを示している
装置会社では、在庫総額よりも在庫の形が重要です。2026年3月末時点で、Lamの原材料は25.1億ドル、仕掛品は3.88億ドル、完成品は11.1億ドルでした。
現時点の在庫構造は前向きに読めます。売上が増えるなかで完成品が減っているためです。ただし、次の数四半期も完成品、売掛金、繰延収益、顧客受入タイミングを合わせて見る必要があります。
崩れうるポイント
第一のリスクは中国です。FY2025の中国売上比率は約34%、FY2026最初の9か月では**37%**でした。中国はLamの報告売上の大きな柱です。米国の輸出規制と中国の国産化政策は、売上とマージンに直接影響しえます。
第二のリスクはメモリサイクルです。Lamは3D NAND、DRAM、HBMにうまく合っていますが、メモリ顧客は不況期に設備投資を大きく削ることがあります。設置済み装置向けサービスは緩衝材になりますが、新規装置売上の循環性を消すことはできません。
第三のリスクは競争です。Applied Materialsはより広いポートフォリオを持ち、Tokyo Electronは複数工程で直接競争します。ASM、SCREEN、SEMES、中国地場メーカーも特定領域では無視できません。Lamが強いことと、競争が弱いことは別です。
最後のリスクはバリュエーションです。良い会社でも、期待が高すぎれば株価は休むことがあります。この価格では、Lamは工程優位、サービス収入、マージンが現在のメモリ上昇局面を越えて続く証拠を出し続ける必要があります。
次に見るべきこと
Lamを見るときは、AIという言葉より先に数字を見るべきです。とくに重要なのは次の五つです。
- Customer support-related revenueが四半期20億ドル前後以上を維持できるか
- Gross marginが50%近辺で保てるか
- DRAMとNAND投資の回復が一、二四半期だけで終わらないか
- 中国売上比率が規制リスクに対して過度に高まらないか
- 完成品在庫が再び積み上がり始めないか
これらが同じ方向に改善すれば、Lamの工程優位は数字で再確認されます。反対に、売上は良く見えても完成品在庫が増え、中国比率が高く、マージンが低下するなら慎重に見る必要があります。
LamはAIを直接売る会社ではありません。AIメモリに必要な難しい製造工程を支える会社です。次の証拠は、AIという言葉の熱気ではなく、注文、サービス売上、マージン、在庫、顧客の設備投資に出てきます。











